“Classic”

久々にGlenn GouldのBachを聴いた。

Johann Sebastian Bachは17世紀生まれの作曲家。
Nietzsche(ニーチェ)が自著の中で神は死んだというずっと前の時代。
まだ、西洋社会には神が居た。
Bachは音楽家一家に生まれた子供で、教会のパイプオルガン弾きをしていた。

Bachの音楽には時に、神(すなわち、すべてを超える偉大な存在)を感じさせられる。
カトリックの教会の天井を見上げたときのような気持ちだ。

まっ、それはいいとして“Classic”。
“Classic”とは語義通り、古いものだけれど、「古くから残っているもの」ともいえる。
そういう意味では、「故い」という字を使った方がよさげ。

古代文明の絵や文字は石に刻まれていたりしていた。
古代の世界では文字を読み書き出来ることは特権階級のなせる技だったせいか、
非常にしっかりとした媒体に書かれている。
今では、(少なくとも日本では)殆どのひとが文字を読み書きできる。
その成果、今日の情報は消えやすい。

紙だって特に気をつけて保存しなければさほど持たないし、
紙に文字を書くインクもさほど持つとは思えない。
FD, CD, DVD, HDもすべて100年と持たないだろう。

そんなわけで、1000年後に残るのは、1000年前から残っていたものだけな気がする。

話は戻るが、1977年に打ち上げられた惑星探査機Voyagerには、
地球の音を録音したレコードが搭載されている。
Glenn Gouldの弾くBachのGoldberg Variationsはそのレコードに収録され、
今も地球から140億キロの彼方を航行中だ。
まさに彼のピアノは人類の遺産なのだ。