ふりかえりMorocco日記 ix

さて、朝も7時前に起床して、一応の身なりを整えホテルで朝食。

食堂に...、誰もいない。朝食は(?)と思いつつ、ホテルの人に尋ねると、ここと暗い部屋に案内される。
中を覗くと一応、食堂のようだ。
見ると少しは準備がしてあるらしい、というか昨日の残りなのではないかと思われる。
仕方がないので、(冷えた)クレープとコーヒーなどを持ってくる。

食べていると、あら、温かいクレープを持ってくるではないか。
ならそう言ってくれればまっていたのに。温かいのも食べたいので、とってきて食べる。
お陰で朝からやたら食べることになってしまった。
冷えたクレープが膨らんでいないナンみたいになっているのに比べ、
温かいのはちゃんと柔らかくやはりおいしかった。

外を眺めると、空気と光が日本と全く違って、なかなかきれい。
乾いた空気に力強い光が斜めから差して大地と椰子の木を照らしている。

食後、部屋に戻り、荷物をまとめ、7時半にホテルの前へ。
昨日の運転手さんがお迎えに来てくれました。

これからお昼までは、カスバ街道と呼ばているらしい道をひた進み、大地とカスバを眺めました。
本当はもっとエピソードやら大地の壮大さをつらつらと書ければいいのだけれど、
そのへんのことは見せないことには説明できなさそうなので、ここではあっさり。

昼を食べたのは、Gorges du Todra(トドラ渓谷)にあるレストラン。
またしても、モロッコ風サラダとタジン。
別にまずい訳じゃないんです、むしろおいしいのですが、バリエーションに問題が。
ツアーの内容に注文を付けるとするならば、1食くらいタジンじゃない料理を付けて欲しいということかね。

腹も満たされ、渓谷の写真も撮ったりして、一段落。
いよいよ、いわゆる「砂漠」に進路をとる。さっきから砂漠に近づいてはいたのだろうけど...。

渓谷の道を戻りオアシスを抜けて、「何もない地帯」へまっしぐら。

途中、見渡しのいいところで運転手さんが写真を撮っていいよと軽く休憩タイム。
そこでneilが、小声でなにやら話しかけてくる。そう、この運転手さんに渡すチップの相談だ。
砂漠に到着した段階でこの運転手さんとはお別れすることになっていたので、
到着までにチップを決めておかなければならないのである。

我ら日本人にはチップを渡す習慣がないので、こういう状況に出くわすのは新鮮。
「僕らは○○くらい出そうと思っているんだけど、君らはどうするつもり? いくらくらいを考えている?」と。
marikoさんと我らが日本語で話せば車内でも運転手さんには分からないのではとも思ったり。
おそらく、そういうことは男の人がやることになっているのだろう。
チップ感覚のあるneilのお陰でチップは一件落着。
運転手さんとneilが煙草を一服して再び出発。

さて、車は進み、乾燥地帯へ。
100 km/h近い速度でひた進んでいるのだが、見渡す限り何もない。
いや、時折チャリに乗っている人を見掛ける。
一番近い人がいそうなところまで数十kmくらいはありそうなんだがなぁ...。
彼らは何をしている人なんでしょう。

突然、犬の散歩(?)をしているひとに出くわしたりもしました。
もっと近場で散歩すればいいのに...。

かるーく砂漠っぽくなっているところで、記念撮影兼休憩のために車を止めてくれた。
おぉ、確かに砂だ、砂。砂漠だーと、ここでは感動。
(こんなのは、砂漠でもなんでもなく、砂場くらいだと気付くのは本当の砂漠に着いてから)
誰が一番絵になる写真を撮れるかコンテストも開催された。誰が勝者だったかは忘れてしまったが。

また、また、また、車はひた走る。いよいよ、夕方風な光になる。
ふと気付くと、後ろに見える、アトラス山脈のように切り立っていない、
通常の山ではないような山のようなものが遠くの水平線に現れている。
なめらかな曲線を稜線に持つ「何か」がそこにあった。

「ねぇ、あれってまさか砂漠かな?」と言わずにはいられない。
だって、イメージしている砂漠が絵に描いたように縮小されて遠くに鎮座しているんだもの。

あまり万人に分かりやすい例えではないが、
天体望遠鏡で土星を見たときの「えー、あれ本物? 絵じゃないの?」という感じ。
でも、(夕方には砂漠に着くことになっていたので)時間的にもあれがいわゆる「砂漠」に違いないと思う。
車が近づき、いよいよ詳細が見えるようになると、やっぱりイメージ通りの砂漠がそこにあった。
冗談みたいに砂がめちゃくちゃあって、それが山になっている。

おそらく多くの人は俺と同様に、砂漠とそうではないエリア(沙漠)の境界ははっきりしておらず
近づくにつれて段々と岩が減り砂が増えていくものだと思っているのではないかと思う。
それは大間違い。少なくとも、俺らがいったところでは大間違い。

沙漠と砂漠の境界は多く見積もっても200 mほど。礫の地面が突如として砂になる。
グレーゾーンもどちらかというと、砂が飛ばされてそうなっているという感じで、
グラデーションのように「段々と」では全くない。あれは驚き。

長くなったので、砂漠への出発はまた次へ。